二次元に逝く

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二次元に逝く:第8回 ゼルダに流れる野生の息吹「世界よ、これがゲームだ!」

二次元に逝く:第8回  ゼルダに流れる野生の息吹「世界よ、これがゲームだ」

 


ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 1st トレーラー

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今更ですが,最近「ゼルダの伝説ブレス・オブ・ザ・ワイルド」(Nintendo Switch/WiiU)にどっぷりハマりました。もう素晴らしいです。「面白い」ではないんです。「素晴らしい」としか言いようがないです。

実は,この名作を今の今まで積みゲーとして放置してまして,何度もそろそろ遊ぼうかなと手を伸ばすのですが二の足を踏んでしまうのです。子供の時から遊んで来たはずなのですが,何故か遊ぶにまで踏み出せずにいまして......。読者の皆さんも似たような経験があるのですが,久々に疎遠になった友人にLINEしようとするが,今までの感覚や距離感をつかめず,モヤっとして結局送信せずに辞めてしまうと言ったあの感覚です。これはゲームに限らずシリーズ物から長く離れてしまうと謎の気まずさと罪悪感を抱いてしまう性....そのため,どんどん手を付けにくくなってしまった部分もあり,しかも、疎遠になっていない友達のドラクエくんとペルソナくんがいたため更に疎遠になっしまいました。

「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド 自然」の画像検索結果「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド 自然」の画像検索結果

ドラクエ11の王道を行くRPGとペルソナ5のスタイリッシュで現実味のあるRPGをクリアした結果、「もう世界救うのは嫌だ」という謎の虚無感に襲われてしまいまして「ゼルダの伝説」ような,多くを語らず全てを伝える物語に加えて手応えのあるアクションゲームをプレイするのは今の自分には荷が重いと思い敬遠していたのですが,ふとNintendoOnline特典のスーパーファミコンソフト「星のカービィのスーパーデラックス」と「ゼルダの伝説神々のトライフォース」を手に取り遊んでみると,2つの世界観や鳥肌がたち胸が高鳴るようなBGMに引き込まれ,ここまでされてゼルダに向き合わなければゲーマーの名が廃るとプレイに踏み切りました。すると、昼間はゼルダ、トイレや風呂などでもゼルダ、就寝前もゼルダをやり、気づけば朝日が昇るまでがゼルダでもう第2の人生って感じです。。。携帯モードのおかげで、どこでもSwitchと任天堂の戦略にまんまとかかってしまいました。

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 さて,前置きが長くなりましたが「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の何が素晴らしいのか,なぜここまでハマってしまったのか、、、それは、本作はゼルダの伝説の名を使った「完成されて、丁寧なオープンワールドゲーム」だったからです。

任天堂曰く,本作は「オープンワールド」ではなく「オープンエアー」とのことなんですが,これは実際にゲームをプレイしてみないとニュアンスが伝わりづらい部分があるので.........あえて分かりやすい言葉で表現しました。スーパーマリオブラザーズ」の生みの親としても知られ、本作のエグゼクティブプロデューサーを務めた宮本茂さんによると「プレイヤーがやりたいことは何でもできるが、それがエンターテイメントの一種であるようにしたかった。ですから我々自身で名前をつけることが一番だと思ったんです」と語る。https://jp.ign.com/the-legend-of-zelda-hd/3220/news/

それが具体的に,どういうことなのか。自分はオープンワールドゲームに対して特別な思い入れがあります。今までゲームをプレイする中で「その段差とか頑張れば登れるでしょ!とかRPGなどではどうしてこっちの道から行けないの?」などと疑問に思っていたのですが,今までは技術だとか容量の都合上仕方ないんだと諦めて,それはそれと割り切って楽しんでいました。マリオギャラクシーなどの箱庭ゲームをプレイしたときは衝撃を受けこんな自由に動けるのか。。。。と目をキラキラさせながら胸を高鳴らせていました。そんな箱庭ゲームを超えたオープンワールドと聞いたときには,時代が動いたと思い楽しみにしてました

しかしながら,さまざまなタイトルをプレイして色々と深くハマっていくと必然的に弱点も見えてきます。昨今のオープンワールドのゲームというのは今現在,資金力・開発力に勝る海外メーカーが主導しているジャンルです。ノウハウも充実していますし,昨今は「オープンワールドなのに完成度が低い」というゲームはめったにありません。しかし,無難なモノが多く飽きてきたのも事実です。「オープンワールドってこういうものだ」という固定概念が広まりきった結果,どれも遊び心地が似たりよったりになって,本来の一本道から開放された自由のはずが,「管理された箱庭から箱庭に移動するだけ」のゲームになってしまい,とても息苦しいものになってしまいました。最初は広大な世界で自由に遊べるんだ、すごいとなるのですが「そこで出来ること」は大雑把なモノだと徐々にみんなが気づいてしまったんです。

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とはいえ,誤解しないでほしいのが,僕はそれを不満に思っているのではなく,弱点は弱点として受け入れたうえで,それでもオープンワールドゲームはやっぱり好きなんですよ。大雑把で遊び心地が似たり寄ったりなタイトルばかりでも,オープンワールドゲームを数多くリリースされる現状をとても嬉しく思っています。そういうものが遊びたいんですから。この世には死んだジャンルというものがありますからね。

だが,しかし......。しかしですよ,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」をプレイして,「とんでもないものを生み出してくれたな!」と驚愕しました。こんなものを出されてしまったら,今後オープンワールドゲームを遊ぶたびに「あぁ,これがゼルダならな.......」という思いが頭によぎるに違いないと。数時間遊んだだけで思い知らされました。今後のオープンワールドはこれと比較するのか.......と。

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丁寧なんですよとにかく......丁寧に作り込まれていて大雑把なところはひとつもない。制限の中で最大限の自由を謳歌出来るようになっていて,体験を提供されているのではなく体験を自らの思考で生み出すことができるのです。ほんとに窮屈ではありません。自由に呼吸出来る”空気”がハイラルには流れていました。宮本茂さんが提唱するオープンエアの意味を少し理解できたような気がします。

ザコ敵との戦闘とっても剣やこんぼうを振り回すだけではなく,何通りものアクションがあり大胆に正面から攻めるのも良し,夜中に寝ている敵に不意打ちをするのも良しと自分の思い描く戦略を実現することができます。

「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド ボブリン」の画像検索結果

魔物はノコノコとうろついているだけではありません。彼らは拠点を構えておりプレイヤーを発見すると襲う前に笛を吹いて仲間に知らせるといった狡猾さを持ち”生き物”の動きで襲いかかってくる。近接攻撃を仕掛けてくるヤツ,遠距離射撃で援護するヤツの連携が見事だったり,こちらが投げたオブジェクトを投げ返してきたり,焚き火から木製の武器に火を燃え移らせて殴ってきたりと,かなり歯ごたえがあって一匹二匹だとたいしたことないのですが,敵が5匹といった多勢の場合はかなり厄介でスリルがあり飽きません。単純に敵が硬いからや攻撃力が高いから強いというわけではなく,その行動に”生命”を感じさせてくれます。

また,空中を飛行したり水中を泳げるゲームはこれまでに多くありましたが,切り立った崖などをちゃんと登れるゲームは意外に少なく「スカイリム」なんかでは馬のジャンプを利用して無理やりよじ登ったりもしましたが,そういうバグや裏技的なものではなく本作ではちゃんとシステム的に「よじ登る」というアクションが用意されています。そのためわざわざ時間をかけて回り道をしなくとも,多少無茶をすれば山だろうが谷だろうがなんだろうが独自の攻略ルートを開拓することが出来るんです。その気になれば,ほぼすべてのイベントや物語をすっ飛ばしてラスボスのダンジョンに殴り込みに行くことができ操作に自信がある方はラスボスを倒すなんてこともできます。しかしこれらのアクションは「がんばりゲージ」(※いわゆるスタミナ)によって左右されるところもお見事でした。これを無制限にすると,前述したようなスリルのない大雑把な遊び心地になってしまうところを,がんばりゲージを気にしなければならないという制限をもうけることによってプレイに各自の工夫が生まれてくる。たとえば岩壁を登っているとなんとなくあそこで休憩できそうだなと感じるとその場所まで頑張って行ったり,普通に行ったら溺れそうな川もアイスメーカーと言う水辺に氷塊を作るゼルダシリーズの秘密道具で乗り切ったり。。。。「ゼルダの伝説」シリーズが得意とするギミックの活用をオープンワールドに無理無く活用することで,プレイヤーの発想力・直感力が直接ゲームの攻略に繋がっていくのです。

「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」の画像検索結果

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これはあくまで個人的な意見ですが,本作は「国産オープンワールドゲームが目指すべき道」であるように感じます。昔から日本人は良くも悪くも職人気質ですから,それはゲームに対しても例外では無くて,周りがなんで?そんなとこまでこだわるの?というモノやどんな人生を歩めばこの発想を思いつくんだ?という美点であり,その性質を変えるのではなく,受け入れ,資金もノウハウも充実している海外とは張り合わずに日本の得意なことを使い海外とは違った方向でトレンドを攻める。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は成功させたように思えます。

「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド ライネル」の画像検索結果

オープンワールドゲームはゲーム業界の最前線でありながら飽和し,もはや「枯れた技術」になりかけていたジャンルに国産ゲームらしいアプローチ,すなわち枯れた技術の水平思考という任天堂の得意分野で新たな可能性を開拓することのでき,今後の「オープンワールドゲームの在り方」を変える可能性があり業界的にも影響力がある非常に素晴らしい作品だと思っています。今更だろうと思っている方も本作の続編が出るということですから,遅くないのです!本作をクリアしたその熱量で続編をプレイすることが出来るのでむしろチャンスなのではないでしょうか。。。

ゼルダの伝説」に興味あろうがなかろうが関係ありません。本作からゼルダをデビュー出来るのは、、、ゼルダ童貞を捨て去るきっかけになるのではないでしょうか。。。今,捨てないと、これからずっと童貞のままですよ!


『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編 E3 2019出展映像